電波新聞社の本・もの知り百科
June 1, 2025.
随分と鉄道とは関係のなさそうな出版社から発行された本ですが、電波新聞社が発行した「もの知り百科」と言う名前の12冊ほどのムック本で発行時期は西暦2000年から2006年頃です。この会社はその名の通り「日刊電波新聞」と言う業界紙を発行していますが、最も有名な処は「ラジオの製作(廃刊)」や「電子工作マガジン(現行)」と言った電子工作関係の版元としてでしょうか。
誠文堂新光社は電子工作関係の雑誌に力を入れながらも鉄道関係の書籍をぬかりなく発行しているのに対し、こちらの電波新聞社は電子工作関係の本ばかりです。それでもこのシリーズの中には一冊だけですが鉄道関係の本があるし、私は鉄道以外に真空管オーディオも好きなので何冊か出ているので、折角だから全部揃えてしまおうと思って収集しつつある処です。
生憎ながらやっと半数くらい揃ったのですが、如何も本によって売れ行きが大幅に違うように感じられます。それと言うのもヤフオクに出て来る頻度には相当に甚だしいバラツキがあって、売れ行きの良い本は常時出品されているのに対してそうではない本は、、、と言う事です。以下、12冊の一覧をお目に掛けます。
- 鉄道もの知り百科
- 工作と工具もの知り百科
- 電子パーツもの知り百科
- 家庭の電気もの知り百科
- ロボットもの知り百科
- 真空管もの知り百科
- 実用真空管もの知り百科
- まるごと真空管もの知り百科
- LED電飾もの知り百科
- 改訂版電子パーツもの知り百科
- 定電圧電源もの知り百科
- オーディオ真空管アンプもの知り百科
12冊しか出していないのに真空管絡みの本が三冊もあるのは流石に電波新聞社らしいですが、いきなり第一号が鉄道関係の本だったのは些か戸惑います。尤も読者が戸惑ったのは兎も角も、編集部側も第一号を書いた筆者は都営地下鉄の信号回路にしか興味が無いような奇怪な書き方をしているので面食らった事でしょう。果たしてこの調子で、このシリーズの本がどの程度売れたのか些か疑問です。
その一方で11冊目の「定電圧電源もの知り百科」は内容が充実した非常に良い本です。著者は丹羽一夫さんで、この方はアマチュア無線関係でも非常に判りやすく再現性の高い製作記事をお書きになる事で有名な方です。私はアマチュア無線は全くやりませんが、それでもこの方のご高名だけは存じ上げています。文句なしに推薦できる本は「定電圧電源もの知り百科」だけでしょうねぇ。そう言い乍らも私はこのシリーズを六冊も持っていて買うたびに後悔していますが、これは「全部揃えないと気が済まない」と言う哀れなコレクター根性？に毒された結果です。
大雑把ですが丹羽先生の「定電圧電源もの知り百科」には百点満点を差し上げても良いと思うのですが、それ以外の本はどうかなぁ。ロボットとか鉄道とかについて書いてある本に関しては、最大限に採点を甘くしても30点が良い処じゃないかと思います。もしもパワーパックの自作でもなさるつもりがおありなら、「定電圧電源もの知り百科」は見掛けたら無条件でお買いになる事をお勧めします。それ以外の本は、、、まぁ、別の本をお買いになっても良いんじゃないですかね。なにぶんにも発行されてからざっと20年以上経過している本ですから、記載内容は最新のものではありません。史料的な価値と言う点でも些か疑問が残りますから。
一冊目の「鉄道もの知り百科」、電波新聞社刊。
五冊目の「ロボットもの知り百科」、電波新聞社刊。
九冊目の「LED電飾もの知り百科」、電波新聞社刊。
十一冊目の「定電圧電源もの知り百科」、電波新聞社刊。恐らくは「もの知り百科」の中では最高峰でしょう。特に「ブリーダー抵抗」の解説をした部分は秀逸で、嘗て類を見ないほど優れた内容です。著者は高名な丹羽一夫先生ですが、できる事ならば「もの知り百科」の電子工学系の分野は全てこの方に執筆して戴きたかったです。
十二冊目の「オーディオ真空管アンプもの知り百科」、“もの知り百科”の内の一冊には違いないですが、少々“自作本”的な色合いが濃い一冊です。電波新聞社刊。