道床付き曲線線路のレール長さ一覧
Dec 1, 2025.
鉄道模型用のレールを木製道床で自作する場合に、必要となる「曲線レールの(道床一本辺りの)長さの一覧表」です。こうやって書くと余りにも漠然としていて意味不明ですが、六十年ほど前から私が愛用している木製道床の線路は現在では完成品としては販売されていません。売っていなければ作るしか方法はありませんが、丸ノコやジグソーと共にルーター・トリマーがあれば工作そのものは大して難しくありません。
その一方で一番厄介なのは線路の曲線半径の決め方はどうするのかと言う問題です。最も科学的？な発想としては「車輛によって最小通過半径が異なるのだから、必要であるべき？最小通過半径によって線路の半径を決める」と言う手法を採るべきです。然し乍らこの発想で線路の半径を決める事は、かなりの無駄を伴う場合が予想されます。例えばHOゲージなどでありがちなは16.5mmゲージ用の木製道床付き線路を造る場合、半径420mm程度の線路であれば910mm×910mmに裁断して販売されているベニヤ板から切り出せば済む事は容易に想像できますし、これが半径460mm程度の線路であればかなりの無駄な木取りを強いられる事が予想できます。
この程度のベニヤ板の木取り程度の事であれば暗算で計算しても大した手間は掛かりませんが、「木製道床付き線路を造るのに必要なレールの長さ」の算出にはそれなりに手間が掛かります。円周の計算をして必要なレールの長さを算出する必要がある訳ですが、その為には「普通は半径で表示しているモノを二倍にして直径に変換し、その直径に円周率(π)を掛けて算出する」と言う作業が必要となります。元来が文科系志向の私には、この計算は些か面倒です。いやまぁ、「文科系志向」と言うよりは若干の学習障害傾向のある私がこの種の複雑!!な計算をすると往々にして計算を間違えて大散財をする結果となりがちなので、「予め表計算ソフトを使って計算させておこう」「計算結果をコンテンツに仕立ててアップロードしておけば、何時でも、何処でもスマホを使えば計算結果を見ることが出来て好都合」と言う事です。我ながら、素晴らしい解決策を思い付いたものです。白状しますと表計算ソフトを使うのも苦手なので、使ったのはリレーショナル・データベースソフトの「桐」です。この表を作るのにどうして「リレーショナル・データベースソフト」を使うのかは、単に「桐」は使い慣れていて作業が楽だから、です。
言うまでもありませんが、「線路の半径(≒直径)が決まれば、線路の長さは一義的に決まります」。例えば半径φ1000の線路であれば、1000mm×2×3.14≒6280mmと計算できます。従って一本辺りの無さが1000mmのシノハラ製フレキシブルレールを使うならば七本用意すればOKだけれどもかなり無駄が出る、一本辺りの長さが914mmのPECO製フレキシブルレールを使う場合も七本用意すればOKでかなり無駄が少ない、となります。固定レイアウトとかであればこの程度の簡単な計算で済みますが、分割可能な木製道床線路を作るとなると「一体、何分割にするべきか」「何分割にすれば最も無駄が少ないか」と言う事を考慮する必要があります。
一番簡単なのは「二本組」とかのように徹底的に分割数を少なくする事です。これだと道床一本辺りの線路の長さは上述の半径φ1000の線路の場合は6280mm÷2＝3140mmと計算できます。これだと絶対に道床中にレールの継ぎ目が出来ますから余り考慮する必要がありません。その一方で「五十本組」とかに分割数を途方も無く増やしてしまえば、ちょっとやそっと短いレールでも巧く組み合わせになるように工夫すれば道床中に継ぎ目が出来たりしませんから悪い手法ではありません。しかしコレ、どちらも余り感心できません。「二本組」なんかにしたのであれば、個々の線路が大型になり過ぎて取り扱いが厄介ですし、「五十本組」なんかにしたのであれば接続箇所が多過ぎて面倒で叶わないと言う事になります。
道床付き線路を作る際の、レールの長さ一覧表
Dec 1, 2025.
以下に「道床付き線路を作る際の、レールの長さ一覧表」をお目に掛けます。上述の通り、使用したのはリレーショナル・データベースソフトの「桐」で、MS-DOS時代からPC98とかをお使いになっている方ならば、少なくとも名前はご存じだと思います。「桐で作ったデータをHTML型式で書き出して、、、」と言う事も考えなかった訳ではありませんが、そこまで手間を掛けても余り意味はありませんから、スクリーンショットをトリミングしたものを以下にお目に掛けます。リレーショナル・データベースソフトとは言っても表計算ソフト的な機能もありますから。半径の数字さえ入力すれば123本組線路の長さでも、5963本組線路の長さでも、すべて自動的に計算はしてくれます。
- 最小半径φ250から始めて、最大半径はφ914まで、概ね50mm間隔の数値で計算しています。途中の端数の数値が入っているのはインチ単位の線路の数値を勘案したり、独特な数値の製品を意識したりしたためです。
- 数値は全て、小数点以下一位で四捨五入してあります。道床一本辺りのレール長さを合算合計しても、円周の数値には合致しない場合が多いです。
木製道床線路を作る際の、レール一本辺りの長さ一覧表。2025年(令和7年)11月作成。
半径250mm
Dec 1, 2025.
普通に市販されているHOゲージ(≒16番ゲージ)の線路としては最急の曲線で、大雑把に言えば半径10インチの線路と言う事になります。道床付きではメルクリンのM式線路(金属道床付き線路)にこの半径の製品があり、道床無しではフライシュマンのモデルトラックの中にこの半径の製品があります。スケール物のボギー車では、大抵の場合はこの半径を走ることは難しい筈です。篠原正瑛先生が和訳なさっていた時代のメルクリンの日本語版カタログには「産業用曲線」と言う和訳が当てられていました。
半径357mm
Dec 1, 2025.
「随分半端な数字だ」と思われるかも知れませんが、これは14インチをメートル法に換算した結果です。「14インチを換算すると355.6mmじゃないか」と言われそうですが、フライシュマン(Fleischmann)のカタログにはこの半径の線路が「半径357mm」とか「半径356.5mm」とか記載されているのでなんとも曖昧です。なにやら怪しい数字になってしまいましたが、取り敢えず14インチ＝357mmと言う事で押し切る事にしておきます。普通に市販されている道床付きの線路の中では半径250mmに次ぐ急曲線ですが、半径357mmだと普通に市販されている大抵のHOゲージの客車が通過できる寸法で、少なくとも拙宅の主力であるバックマンやフライシュマンのOn30・Oeの車輛であれば、ボギー車であっても支障無く通過可能な半径です。IORI工房さんで試験用にお使いになっているのもこの半径の線路です(と言うか、フライシュマンの道床付きの線路をお使いになっている筈)。
半径457mm
Dec 1, 2025.
これは直ぐにご理解いただけるかと思いますが、半径18インチをメートル法に換算した結果です。アメリカ型の製品でこの半径を通れない製品は余程のスケール志向・マニア向けの製品なので、雑誌の製品紹介記事ではかなり厳しい評価が下される事となります。半径450mmであればカツミ＝エンドウの金属道床線路でも製品がありますから、この半径の線路が通れない車輛と言うのは日本型にしても「そりゃぁ、ないだろう」と言いたい処です。これはまぁ、アメリカ被れの非国民である松本の戯言ですから適宜読み飛ばしてください。
半径914mm
Dec 1, 2025.
半径36インチをメートル法に換算した結果です。このコンテンツの表の中では最大の半径と言う事になります。同様に、道床付き線路を販売していたカワイモデルや、木製道床を単独で販売していたシノハラの製品の中であれば、この半径の製品が最大半径です。取り敢えず一覧表の「締め」になる数字として載せておきます。単なる正円の線路とするだけでも畳二枚分の面積を要しますから、実質的には最大限度の大きさに近い数値だと思われます。