XURONのトラックカッター2175B
Aug 1, 2022.
美國XURON公司的軌道切割機(軌道切割鉗)。
XURON(ジューロン)と言うメーカーの「トラックカッター」です。「道床まで含めて丸ごと一挙に切断できる」と言う代物ではないので、あくまでも切断対象はレールのみですから、「レール類専用ニッパー」と考えれば宜しいでしょう。このメーカーはニッパーとか、プライヤー、ペンチなどに特化したメーカーのようで、本社所在地はアメリカ合衆国のメイン州サコ(Saco)と言う街です。会社名の読み方は、、、ちょっと自信が無いのですが「XURON」と書いて「ジューロン」と言う読み方で宜しいかと思います。「100%間違いなく“ジューロン”ですっ」と言い切るほどの自信はありませんけど。
その「XURON(ジューロン)」ですが、創業は1971年(昭和46年)で商品の種類はかなり多いようですが、鉄道模型的には以下にお目に掛ける「2175B」と言う製品しか見掛けません。「見掛けない」と言っても「ウォルサーズのカタログに載っているのはこれだけ」と言う事なので、メイン州内の何処かのホームセンターの工具売り場とかに行けば、XURON製品の膨大な在庫展示があるのかも知れません。私の残り少ない人生では、この先にXURON製品の膨大な展示在庫を見る機会は無さそうですが。
ジューロン(Xuron)本社社屋。アメリカ合衆国のメイン州サコ(Saco)。
以下にお目に掛けるのは、XURON(ジューロン)のトラックカッター、品番は2175Bと言うものです。公称呼び寸法は明記されていませんが、手持ちの「150mm」の工具とほぼ同じ大きさになるので、恐らくは「6インチ」なのだと思います。6インチ≒152.4mmですから、決して大きな工具ではありません。
あくまでも「カッター」であって「ニッパー」ではありません。「ニッパーとカッターとどう違うんだ」と問われても曖昧な答え方しか出来ませんが、ニッパーと言うと電線類を(電線類も)切断する工具であるのに対し、カッターと言う工具はあくまでも板材、棒材、押し出し材＝レール類を切断する工具だと言って宜しいのではないかと思います。要は、切り口の形状はどのようになってもすっぱり切り落とせれば良いのが「ニッパー」で、作業した際に母材の形状を損なうことなく切り落とせるのが「カッター」じゃないかと思うのですが、果たして実態はどんなものでしょうか。
このXURON(ジューロン)のトラックカッター、品番は2175Bに関する文章の初版？を上梓した1999年(平成11年)より少し前にアメリカの模型屋さんから通販で10ドル位で購入しています。送料は、他の模型類と一緒に個人輸入した筈なので、大した金額ではない筈です。総額含むでも、せいぜい14ドルとかその程度だと思います。その後、拙宅内に数か所あるブルックホールに飲み込まれてしまったようなので止むなく上述のナローゲージショップさんから通販で買い求めたら、送料込みで5000円ちょっとでした。かなり高額になってしまいましたが、そこまでするだけの価値のある工具だと思っています。
XURON(ジューロン)製のトラックカッター「2175B」は大変切れ味が良く、これでレールを切断するとヤスリで仕上げる必要性は殆ど感じません。普通にニッパーを使って作業すると、レールの切断面が押し潰されたような汚らしい格好に変形してしまいますが、この2175Bトラックカッターを使っている限りはヤスリで成型するような作業は一切不要です。普通のニッパーでレールをちょん切って潰れた汚らしい切断面を手直しする作業が、なんと空しく思えてくる事やら。但し、指向性が強いと言うのか、切断する向きを間違えると切断面が汚らしくなります。刃先の外側を切り残す方に向けるのが正解です。
XURON(ジューロン)製のトラックカッター「2175B」。この写真は製品を買ったそのままの状態、未開封状態で撮影しています。些か曖昧な記憶で恐縮ですが、以前とは梱包の意匠が違っているように思います。いずれにしても、これが最新仕様(の筈)です。
XURON(ジューロン)製トラックカッター2175B。この写真は製品を梱包から出した状態で撮影していますが、上の写真とは反対側の面を撮影しています。
XURON(ジューロン)製トラックカッター2175Bの大きさの比較。一緒に右側に写っているのはフジ矢製の普通のニッパーで150mmのモノです。XURONの方はインチサイズで作っているのでしょうから150mm長と言うよりは6インチ長でしょうか。XURON製トラックカッターの方が肉薄だから軽いのか85gです。フジ矢製品の方は117gです。
XURON(ジューロン)製トラックカッター2175Bの刃先部分。
XURON(ジューロン)製トラックカッター2175Bの切断時の概念。下手な絵で恐縮ですが、「残す方」と「残さない方」とでは、切断面の形状は驚く程に違いますからびっくりです。
XURON(ジューロン)製トラックカッター2175Bの刃先部分。こちらを切り残す方にすれば、綺麗に切断できます。支点の横に次のような刻印があります。
2175B
XURON CORP
SACO, ME U.S.A.
この文字を目安にすれば判り易いでしょう。反対側には、安全標語？のような、文字を潰してしまって些か意味不明になってしまっている刻印があります。
XURON(ジューロン)製トラックカッター2175Bの刃先部分を真正面から見た処。この状態の状態で、上になっている方が切り残す方になります。
切断するとレール底部に若干バリのようなものが残るのですが、これは設計上？の問題のようです。シャーリングマシンで鋼材を裁断すると僅かにバリのようなモノが出来ますが、あれに近いものと考えれば宜しいでしょう。普通の電工用ニッパーで切断して汚く潰れた切断面を成型する訳ではないので、軽く舐める程度にやすりを当ててやれば充分です。現在使っているモノの他に以前使っていたモノと、知人が輸入して使っていたモノと、合計3丁使ってみたのですがどれも同じようにバリが出ます。切断面は必ずレールジョイナー内部に収納されるわけですから、割り切って使うつもりならばヤスらなくても支障はありません。大した金額の工具では無いのですが、一度使うと手放せなくなります。
XURON(ジューロン)製のトラックカッター「2175B」の切断方向の説明、梱包してある台紙？の裏側に記載されています。ゲージに拠って、レールを切断する際の咥え方が指定されています。「ゲージに拠って」と言うか「レールの太さ≒高さに拠って咥え方を換える」と言う事だと思いますが、HOゲージの場合は刃先の中央にレールを挟んで、上下方向に切断するように指定されています。恐らくは100番のレール、#100、コード100のレールの場合は上下方向に切断すると言う事なのでしょう。NゲージとZゲージの場合は左右方向に挟んで切断するように指定されています。こちらは70番、55番とかのレールを想定しているのでしょうか？。
この一件、「指定」と言うか、製品の梱包にそのように記載されています。但し、100番のレール、#100、コード100のレールの場合は実際にレールを上下に挟んで切断した方が、左右方向に挟んで切断するよりも切断面が綺麗だった記憶が有ります。私は16番ゲージもOナローも、100番のレールしか使うつもりはないので躊躇うことなく上下方向に挟んで切断することになります。名付けてギロチン方式、ですな。
公称は「#100のレールまで切断できる」と言う事ですが、私が試した限りではPECOの#124のレール程度でもかなり力を掛ける必要はあるものの、支障無く切断できました。但し、相当無理している印象がありますから、余り勧められません。#143以上のレールだと止めた方が良いと思います。焼き入れの関係だと思いますが刃先は結構脆いです。#100のレールであってもこじると言うか、ねじる、ひねるような使い方をすると結構簡単に折れてしまいます。
XURONのサイトには切断可能な素材の太さが記載されていて、それによれば「AWG-12からAWG-30まで」となっています。「AWG」とは「アメリカン・ワイヤ・ゲージ」の事で、AWG-12とは直径φ2.053、断面積が3.31sqになります。同様にAWG-30とは直径φ0.255、断面積が0.0509sqになります。上に書いた通り、やはり快適に切断できるのは#100までで、#124は些か無理があります。序でに書くと#100(コード100)のレールは高さが2.54mmですから、強いて言えばAWG-10程度の太さになります。但し、実際のAWG-10の電線は直径がφ2.588ではあるものの断面積は#100のレールよりも太いです。結局の処、AWG-12までしか切断できない筈のこのトラックカッターでも、大した支障もなく#100のレールは切断できてしまうと言う事になります。
「2175B」以外の2175系製品
Aug 1, 2022.
此処まであれこれと書いてきた品物は「2175B」と言う型番ですから「末尾が“B”では無い製品は無いのか？」と言う事は、まぁ誰でも考えると思います。以下、XURONのサイトで見た限りですが、現状では下記のような2175系の製品が販売されています。「2175」と言う無駄に細かい？数字は、あたかも近鉄の電車のようです。
「2175」、これは無印と言うのか、銀細工用、所謂「ジュエリークラフト」を意識して作られた製品のようです。恐らくは、この製品が2175系カッターの最も基本的な性格を有していると言って宜しいでしょう。
「2175B」、このコンテンツで引き合いに出している「2175B」そのものです。比較的硬い金属材料も切断できる万能選手と言った処でしょうか。
「2175ET」、プラモデル用と言うか、ランナーから部品を切り出す際に使用する事が前提のカッターです。
「2175SH」、この系列のショートハンドル仕様、柄の長さが短いです。2175の仕様変更型です。