Dock side／ドックサイド
Sept 1, 2024.
「ドックサイド(Dock side)」とは、B&O(ボルティモア&オハイオ)鉄道がボルティモア港の港湾地区(≒ドック)での入換用にボールドウィンに発注した0-4-0の軸配置を持つタンク機関車で、米国型としては相当に小さなサドルタンク機です。車輛の規模としてはPRRの有名なB6がタンク機になった程度と考えて良いでしょう。いわゆる「可愛らしい」機関車の範疇に入る車輛で、実物はたった2輛のみの少数派機関車です。
鐡道模型の世界ではヴァーニー社が数10万輛のHOゲージの模型を売ったという伝説を持つ機関車です。この製品のお陰で、「実物よりも模型の方が余程有名」と言う話もあります。
外観が可愛らしいと言う点もさることながら、サドルタンクがボイラ全長を覆うような長さなので実質的にボイラが太いような車体形状になっているので、大型のモーターを使う事が出来ます。上述のヴァー二ー社の一件は、未だ余り小型・強力なモーターが出回っていなかった黎明期のHOゲージの実情とも相まって「かなり大きめのモーターが使える→小型だけど力の強い機関車に出来る」と言う好結果を生む事となり、製品の高評価に繋がっていると言えます。大きなテンダ機よりも、サイドタンクを持つ小型のタンク機の方が概ね強力な機関車を作りやすいのと似たような状況と言えます。反面、所詮は先輪・従輪を持たないBタンク機ですから集電不要に陥りやすい傾向があります。この辺りは如何ともしがたい処です。