鹿島鉄道キハ430
鹿島鉄道キハ430型は、元々は富山県に在った加越能鉄道キハ120型のキハ125とキハ126で、1957／昭和32年東急車輛製の車輛です。全長16500mmと鹿島鉄道の車輛の中では一番小型の車輛でもあり、エンジンは120馬力のDMF13です。東武鉄道のキハ2000型と極めて良く似た外観の車輛です。2輛同時に関東鉄道に入線し、キハ430型のキハ431(＝旧キハ125)とキハ432(＝旧キハ126)を名乗ります。加越能鉄道から来たのはこの2輛だけですが、「加越能鉄道はキハ120型を121から126までの6輛保有していてそのうちの2輛を買い取った」と言うことではなくて、上2桁は機関出力を示しす数字のようです。
下1桁は社内連番だったら科学的？ですが、そうではなくて既にこの車輛の入線以前に(全く仕様・型式の異なる)先輩格の車輛が4輛在籍していたので番号を飛ばした結果のようです。要するに加越能鉄道のキハ120型と言う型式はキハ125とキハ126の2輛で全部、と言うことです。この車輛に続く加越能鉄道の車輛はキハ187と言う大型の車輛で、関東鉄道にやって来てキハ721型となります。
上の写真の車輛は鹿島鉄道キハ431。2006年(平成18年)11月、鹿島鉄道石岡(いしおか：茨城県石岡市)駅にて撮影。入線の際に多少の改装が施されたようで、正面の窓の上下方向の寸法がやや小さくなっているようです。その他に、連結器の上にあった踏み台のような板が撤去されている、向かって左側のテールライトの周囲の円盤が無くなっている、車体周囲に雨樋が張り巡らされるようになった、などの相違点があります。
上の写真の車輛は鹿島鉄道キハ432、2006年(平成18年)4月、鹿島鉄道玉造町(たまつくりまち：茨城県行方市)駅にて撮影。東武鉄道のキハ2000型と極めてよく似た車輛であることは一目瞭然です。外観上の最大の相違点は、鹿島鉄道の車輛はサボ受けが窓下であるのに対して、東武の車輛は窓上にあることでしょうか？ この点はキハ431も同様です。キハ431とキハ432の相違点は基本的には塗装色のみのようです。上述のように若干の改装も行われているのですが、改装の内容もほぼ同様です。
加越能時代に比べると諸元表上の車体幅は大幅に増えているのですが、これは雨樋を取り付けたことによるものだと思います。基本的な車体構造などに変更はありません。
鹿島鉄道キハ430型が入線して間もない頃。一時期の関東鉄道の標準塗装は細い茶色の帯が入ったりしてかなり複雑なものでしたが、それが簡略化・合理化されて一段落した頃です。この写真と同じ塗装で残っているのは右端のキハ714のみになりました。因みにこの2輛、この写真を撮影した時点でオデコの部分の屋根の塗り分け方が同じではありません。手前のキハ431は雨樋の辺りから上が銀色に塗られているのに対して、置くのキハ432は屋根上まで車体上半色に塗られています。
鹿島鉄道キハ430型が履いている台車はTS102と呼ばれるものです。なんとなく想像が付いてしまうと思いますが、「TS」とは、この車輛の製造元である「東急車輛」の略称です。同じく東急車輛製の台車で「YS」と言う気号のモノもあるのですが、こちらは「横浜製作所」の略称で「TS」よりも古い台車です。
板台枠のアーチバー台車が扁平になったような構造で、TR29などと同様の台車です。乗り心地は、、、主観の分かれるところですが、間違い無く良く揺れて楽しくなります。そのお陰で、この車輛に乗ると大した速度でもないのにもの凄くビュンビュンぶっ飛ばして疾走しているような錯覚に陥ったことを記憶しています。